笑って
イマジンとかいうやつらが来てから、デンライナーの中がとても騒がしくなった。
しかも、四六時中食堂車を占拠していてすごくじゃま。
気軽にご飯も食べに行けないじゃない。
私がデンライナーに乗ってから今まで、こんなに五月蝿い乗客はあのイマジンたちがはじめて。
「さん、今日もとてもキレイですね。」
食堂車に入って早々、青いのが私を見つけて近寄ってきて、私の手を握り締めてささやいてくる。
「キモチガワルイ。」
「今日も釣れないねぇ。そこもさんの素敵な『ガスッ!!』
ウラタロスが全部言い終わる前に背後から強烈な一撃を食らって撃沈する。
「うるせぇ、このエロガメが!気色悪い子といってに近寄るんじゃねぇよ。」
「先輩、嫉妬深いのってカッコ悪いよ?」
「なんだと、やんのかコラ?」
五月蝿いなぁ、どうしてこの二人はいつも飽きずに喧嘩ばかりしていられるんだろう?
二人から離れてイスに座ろうと思えば、いつも座る場所にキンタロスがいて本当に邪魔。
いつもの場所に座っていればいいのに、どうして私が座る席に今日はいるのよ?
イライラしながら別の席について、ナオミさんにランチを注文していると、珍しくリュウタロスが食堂車にやってきた。
私の名前を呼びながら……
やめて、そんなに大声で私を呼ぶのは。恥ずかしいから本当にやめて!!
「、〜♪」
ウンザリしながら何かと尋ねれば、ラクガキ帳を差し出してくる。
「ジャジャ〜ン、ネコ!」
「うん、ネコだね。」
「うん!!」
何かを求めるような視線だけど
「………………」
「………………」
「あっ、上手に描けてるね。」
褒めてあげれば、パッと笑顔になって私から少し離れたテーブルの上に座り込んで、また何か描きはじめる。
「さんも子供には甘いんだね。」
いつの間に横に着たのか、ウラタロスが私にそう言ってくる。
「絵描いてるリュウタロスはあんたたちと違って静かだからね。」
「失礼だな。五月蝿いのは先輩でしょ?」
「このカメ公、まだやられたりねぇようだな。」
「うるさいって言ってるのがわからないの!あんたたちのせいで私の平和はなくなったよ!」
そう言うと、モモタロスとウラタロスが「アッ」と声をあげる。
「なくなった、なくな……泣く?泣けるでぇ!!」
あ〜、五月蝿いのがまた。
「どないしたんや!」
「うるせぇこのクマ。寝とけよ。」
「こいつらに泣かされたんか?大丈夫や、俺がついとる!」
「僕たちが憑いてるのは良太郎ね。」
「やったら俺の胸を使わせたる。さぁ、泣き!」
「泣かないよ!」
机をたたいて立ち上がると、五月蝿い席から離れて別の席に移る。
「ん?泣かんのか?」
「ったく。このクマ、一生寝てろよ。」
「そんなことより、さん本気で怒っちゃったね。」
イライラしていると、ナオミさんがランチを持ってきてくれたので、気を取り直して食事をはじめる。
食べてる間も、馬鹿三人が私のほうをチラチラ見てくるのを無視していると、リュウタロスが私の目の前にピョンっと跳んで来た。
「えへへ………♪」
「何?」
「ジャジャジャ〜ン!!」
そう言いながら、リュウタロスが今まで書いていた絵を見せてくれる。
女の子がニコニコと笑っている絵………良太郎君のお姉さんかな?
「を描いたんだ!」
「わ、私?えっと…………ありがとう。」
お姉さんじゃなくて、私を描いてくれたんだ。
なんだか凄く嬉しいけど、今まであまり経験のないことで戸惑ってしまう。
「へぇ、上手に描けてるじゃん。」
「カメちゃんたちはアッチ行っててよ!僕がと話してるの!」
シッシと他の奴らを追っ払って、リュウタロスが私を見てにこって笑う。
「この絵はにプレゼントね!」
「あ、ありがとう。」
戸惑いながら絵を受け取ると、ジッと私の顔を見てくる。
「嬉しい?」
「う、うん。」
「じゃあさ、笑ってよ!嬉しいときは笑うんだよ?クナイ喜んでくれたんだよね?だから、笑って?」
正直、ずっと怒った顔ばかりしていたせいか突然そんなことを言われても困ってしまう。
「……、嬉しくなかった?」
「そんな事ないよ!」
「だったら、笑ってくれるよね?」
首を傾げながら期待の眼差しを向けてくるリュウタロスに困り果てて他の奴らに助けを求める。
「、小僧のためや、頑張ったり!」
「そうだよ。リュウタの期待に応えてあげなよ。」
「小僧が一生懸命描いた絵だ。」
こいつらは役に立たないと諦めてリュウタロスを見ると、まだ期待の眼差しを向けてくる。
そんな眼差しを向けられても……無理だよ。
「あのね、今はちょっと……」
ボソボソとそう言うと、リュウタロスが不満の声を漏らす。
「『今』は駄目なんだよね。じゃあ、今度は笑ってくれるんだよね?」
なかなか鋭い所を突いてきたリュウタロスに一瞬返答に困ると、
「答えは聞いてない!約束したからね♪」
っと声を弾ませながら小指を絡めて上下に振っている。
そんな私たちを見てウラタロスたちがが「本当に、さんって子供に甘いよね。」と話しているのが聞こえて。
部屋に帰ったら鏡の前で笑顔の練習でもしようかな。
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